第35代理事長 井上 健
第35代理事長 井上 健

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2020年度 一般社団法人 牛久青年会議所

第35代 理事長 井上 健

理事長所信

<はじめに>

 一般社団法人 牛久青年会議所に限らず、全国の青年会議所は、青年会議所運動をする上で、過度期にあると考えます。青年会議所運動一つひとつの取り組みを見直し、必要なものと見直さねばならないものの見極めをしていくことが、青年会議所が今後発展への道を辿っていけるかの分かれ道となるでしょう。

 未来の青年会議所のあり方を示す上で、私たちが一番気をつけなくてはならないことは、負荷を減らすという言葉に惑わされないことです。新しい時代を生き抜く為には今ある形を変えていかねばなりませんが、同時に今まであったものの意味をもう一度振り返る必要があります。青年会議所の負荷を減らせば、自ずと仕事や家庭への時間を割くことはできます。その為には、効率的に青年会議所に取り組める工夫が必要です。しかし、その一方で青年会議所活動の効率化は青年会議所活動へ取り組むメリットも失い兼ねません。経済的に余裕があり、仕事が円滑に回り家庭が円満であれば、余裕を持って青年会議所活動へ取り組むことができますが、それだけでは本来の人間力は引き出されません。自身の置かれた状況から、一つ高みを目指すことに青年会議所活動の意義があると、私はこれまでの青年会議所活動において一番重要なことであると認識してきました。2020年度に限らず、その後にも本年度の変革への取り組みの意図がしっかりと残る様な、変化のある一年として取り組んでまいります。

 仕事をする上で、部下や社員などをほとんど持ったことのない私は、青年会議所において、役職上の部下を初めて持ちました。青年会議所における上下関係の学びは非常に大きいものでした。現代では体育会系と一般的に言われる世代は減ってきています。私もその世代の一人であり、入会当初は上下関係の立ち振る舞いで厳しく注意されてきました。注意されている当初は、注意された人に対して腹も立ちましたが、ある時に人を立てるということの大切さを知り、多少なりとも改善することができました。同時に、青年会議所に限らず自分が上の役職についた際に、この人を立てようと思ってもらえる人間でなければならないと強く思いました。組織をスムーズに成り立たせる為には、上の役職の人間が尊敬される振る舞いをすれば円滑な組織として成り立つでしょう。私たちは、報酬の契約もなく、同じ年会費を払っている仲間であるが為に、上の役職に立つものは尊敬される人間として振舞い、人間力で人をまとめなければなりません。一人ひとりがそういった振る舞いをすることによって、一般社団法人 牛久青年会議所や各委員会が魅力的なものになっていくでしょう。

 私の青年会議所生活においてターニングポイントとなった出来事がもう1つあります。私の委員長時代に、「選挙権年齢が下がる為、新たに選挙権を手にする高校生世代に向け選挙へ関心を持っていただく」といった内容の事業を開催しました。その事業後、選挙があるのに選挙へ行くそぶりを見せない私に、妻から「そのような事業をやっているのに、あなたは選挙へいかないのか」といったことを指摘され、何とも言えない恥ずかしさを感じ、それ以降欠かさず選挙へ行くようになりました。私は決してまちづくりや青年会議所運動に関して強い思いがあったわけではありません。ただ、私たちが開催する事業を、メンバー一人ひとりが真摯に受け止め、行動を実行することができれば、大きな変化への小さな一歩が確実に歩めると強く感じます。決して一つの事業として終わらせるのではなく、その後の自身の人生において積極的に事業で得た学びを取り入れていきましょう。

 

 <会員増強>

 会員拡大は、私たち一般社団法人 牛久青年会議所の評価基準とも言えます。2020年には多くの卒業生を送り出さなくてはなりませんが、その人数を補うのではなく、人材を補わなくてはなりません。その為にも、明確な目標人数を立て、具体的な手法を用いて拡大し、次年度以降にも活用できる様なシステムを構築する必要があると考えます。本年度の拡大と会員の強化が今後の組織運営の重要なターニングポイントとなります。

 拡大対象となる会員候補者を見つけ出し、一年間行なっていく会員拡大の下地を作っていかなくてはなりません。その為に拡大の指針と手法を会員全員に示し一年間の計画を具体的に決める必要があります。

 会員の拡大と同時に入会予定者や入会者、既存会員に向けて今後の一般社団法人 牛久青年会議所を背負っていける人材の育成が必要です。その為には、一般社団法人 牛久青年会議所への愛着をより強く持っていただくことが、必要だと考えます。愛着を持ち組織を守ろうとする気持ちが、会員一人ひとりの成長の機会の創出に繋がることでしょう。

 新しく入会した会員や既存の会員に対して青年会議所へのより積極的な取り組みをしていただくには、会員だけの理解ではなく、その周囲への理解も不可欠です。今後の青年会議所への取り組みを会員とその周囲の方達に協力して取り組んでいただく為に、青年会議所のメンバーや私たちの運動を深く知っていただく必要があります。

 

<環境問題啓発>

 公益社団法人 日本青年会議所が推進するSDGs17の目標にも複数ある様に、環境問題は昔から掲げられている私たちの生活に身近にある課題です。しかし、一般的に言われる環境問題を改善する取り組みを、あまりに多くの情報から取捨選択し取り入れることが難しいのも事実です。

 私たちはうしくみらいエコフェスタなど、これまでも多くの環境問題改善の事業へ取り組んでまいりました。そして、これからも環境問題へ一般社団法人 牛久青年会議所が積極的に取り組んでいく為には、私たち自身が環境への意識を日頃から向上させる必要があります。その為には、日頃から取り組める環境への取り組みを会員一人ひとりが学ばなくてはなりません。そして、牛久市の中でも環境問題へ高い意識で取り組む団体である事を行動で示し、発信することにより、地域に暮らす方達の環境問題への取り組みがより一層高くなることでしょう。

 牛久市に住む方達の環境問題への意識を向上させることは、必然と私たちの住み暮らしやすいまちに近づく第一歩となります。日頃からできる環境への取り組みを、私たちが学び得た知識をもとに、より多くの方に広め、環境問題への取り組みに意味があることを知っていただくことで、自然と牛久市が環境問題への意識が高い街になるきっかけとなることでしょう。

 

<次世代育成>

 人には無限の可能性がある。強いて言うならば、子供達にはもっと大きな可能性があります。その可能性を少しでも広げてあげることが、私たち大人の担いでもあります。これから将来の夢を叶えていく子供達には、果てしない可能性があります。私たちが学生であった20年、30年前には存在しなかった職業が今では存在し、A I技術の発達により今後なくなる職業も増えると言われています。ビジネスの世界は日々変化が起きており、子供達には今まで触れてこなかった職種、働く場所にこだわらず、無限の可能性があることを知っていただきたいと考えます。そして、将来の夢を叶える為には、日頃から将来のイメージを強く持つ、また模索することが何より必要であると知っていただき子供達の可能性を無限に引き出しましょう。

 子供に可能性を示す一番身近な存在である親に、子供の可能性を引き出すべく多くのヒントを与えてほしいと考えます。将来の夢は子供が決めるものであり、多くの実体験や経験にふれあい、自ずと将来の夢が見えてくるのが理想です。親にできることは、子供の幼少期にどれだけの可能性があるのかヒントを与え、子供達が、将来を左右するような実体験や経験に直面した際、自らの将来の可能性と結びつけ、自分の意思で無限の可能性の中から将来を決めていく道標をつくることでしょう。

 

<ブロック大会>

 ブロック大会開催において、茨城ブロック協議会との連携は不可欠であり、茨城ブロック協議会と一般社団法人 牛久青年会議所、牛久市の発展の為の目的をしっかりと共有した上で、ブロック大会の開催に臨む必要があります。

 ブロック大会を開催する上で、地域資源を活用し、ベッドタウンとしての牛久市とは違う魅力を創出し、牛久市近隣の地域住民の方へも牛久の魅力を再認識していただく必要があります。また、ブロック大会は茨城ブロック協議会の最大の発信の場であり、一般社団法人 牛久青年会議所の中でも多くの協力団体を巻き込んでの事業となります。しかし、派手な演出や従来の型にとらわれることなく、青年会議所の可能性を示す大会として、地域住民や行政の記憶に残る大会の開催をすることが、第49回茨城ブロック大会 牛久大会の成功へ繋がると考えます。会員が一つになり、事業を成功させることが、私たち自身のテーマでもあります。

 9月のブロック大会 本大会と式典は茨城ブロック協議会が主体で開催されますが、主管は一般社団法人 牛久青年会議所であり、全面的なバックアップをする義務があります。また、本大会の担いである、本大会後の懇親会の設営は、2018年度に開催地として牛久を選定していただいたこと、開催協力をいただいた感謝を茨城ブロック協議会会員に対して伝える設営が必要です。第49回茨城ブロック大会 牛久大会は、この懇親会を持って閉幕となりますが、多くの方の協力を持って開催されたことを、一般社団法人 牛久青年会議所の全会員が認識しなくてはなりません。

 

<35周年>

 35周年という長い時間は、子供が大人に成長するのにも十分な年月です。私たちが日頃行政や近隣友好LOMと友好的なやり取りが出来るのも、35年間にわたり一般社団法人 牛久青年会議所という名のタスキを繋いで来ていただいた先輩諸兄がいることを忘れてはいけません。

 第49回茨城ブロック大会 牛久大会は今まで35年の歴史があったからこそ、牛久での開催に辿り着きました。その歴史を知る為にも、会員大会と呼ばれていた当時の経験を知ることが2回目のブロック大会主管を迎える私たちにとって大切なことです。そして、一般社団法人 牛久青年会議所の歴史と35年間の歩みを知り、今私たちがいるのは、35年間の一部であるという共通認識を持つことが、今後の発展の為に必要となるでしょう。また、入会まもないメンバーと先輩諸兄が交流し絆を持つことで、一般社団法人 牛久青年会議所への想いをより深くし、今後の組織をより強いものにしていくきっかけとしていく必要があります。

 本年度協力をいただいた各団体や先輩諸兄へのお礼と第49回茨城ブロック大会 牛久大会の開催報告を兼ねた場を設けることで、私たち会員だけの力ではなく、多くの協力者の上で成り立っていることを全会員で共有する必要があります。報告と同時に将来のビジョンを示すことにより、第49回茨城ブロック大会 牛久大会は本当のフィナーレを迎えられるでしょう。

 

<組織の運営>

 私たちは、まちづくりや次世代育成、環境問題への取り組みなど、自分たちの運動に誇りを持つことのできる団体でありながら、その認知度は高いと言えません。事業の円滑な運営や会員拡大に繋がる様、私たちの活動や運動をもっと発信していかなくてはなりません。また、全事業の広報活動において一端を担う任務があり、2020年度に限らず今後も使えるような市民への発信ツールを精査することで、今後の財産となる広報活動を展開していく必要があります。

 私たちの行動は、個人で行なう行動以上に一般社団法人 牛久青年会議所という団体の評価としてみられることを認識しなくてはなりません。その為にも、一般社団法人 牛久青年会議所の価値を高める術を常に考え、会員で共有した上で組織を導いていきましょう。

 一般社団法人 牛久青年会議所の表に見えない部分でもある、名刺や名簿などの作成や情報の発信を確実にこなすことで、組織の基盤が安定したものになります。

 総会を見ればLOMがわかるという言葉があるように、総会は青年会議所の仲間が多く参加する場でもあります。総会は他の例会と違い、正解がある中で開催する難しさがありますが、一般社団法人 牛久青年会議所のしっかりとした基盤を青年会議所の仲間に伝えるチャンスでもあります。そして、厳粛な総会で、1年間の指針や中間報告を全会員に伝えることで、2020年度の組織の目的を共有する場にする必要があります。

 長い期間、一般社団法人 牛久青年会議所の中核を担ってきた多くの仲間が、本年度を持ってご卒業されます。今後の一般社団法人 牛久青年会議所に期待を持っていただけるような設えの中、卒業生が私たちに残してくれたものへの感謝を伝えましょう。そして、苦楽を共にした思い出を振り返りながら、晴れやかな気持ちで卒業していただきたいと考えます。

 

<結びに>

 青年会議所活動をしなければ、もっと他のことに時間を費やすことができるかもしれない。青年会議所をやらなければ、大変な思いや苦しい思いをしなくて済むかもしれない。

 ただ、青年会議所活動を真摯に取り組み、数多く訪れる困難に逃げることなく向き合えば、今後訪れる困難に負けることのないスキルや共に困難を乗り越えられる仲間ができるはずだ。

 

 苦しい時こそ、笑って向き合おう。