<はじめに>
「なぜ、こんなにやっているのかわからない」
みなさんは、そう思ったことはありませんか。世の中には、自分でもコントロールしきれないような理解不能な熱量で何かに没頭し続ける人々がいます。他人からみたら、なぜ、そのような熱量で取り組むことができるのか、一見すると非合理的で負担もあって効率がいいとは限らない、そのようなことに取り憑かれたように情熱を注ぎ、結果を出す人々がいます。
1949年、日本のJC運動は、第二次世界大戦後、国の再建を志す青年有志により、明るい豊かな社会の実現を理想として始まりました。先人たちは、自分でもコントロールしきれないような熱量で、明るい豊かな社会の実現に向かって邁進し、戦後の復興、高度経済成長を実現しました。全国各地には、共に向上し合い、社会に貢献するとの理念により、次々に青年会議所が誕生し、現在も「修練」「奉仕」「友情」の三つの信条のもと、各青年会議所は、より良い社会づくりをめざし、ボランティアや行政改革等の社会的課題に積極的に取り組んでいます。
私たちの住み暮らす牛久の地における青年会議所運動は1986年に産声を上げました。本年度、一般社団法人 牛久青年会議所は、40周年という節目の年を迎えます。先輩諸兄姉が39年間の長きにわたって紡いでこられた歴史は、今、牛久青年会議所の創成期に産声を上げたばかりの現在40歳に満たない青年たちが未来に繋いでいこうとしています。
私は、2017年に一般社団法人 牛久青年会議所に入会いたしました。当時は、地元の地域貢献活動に漠然とした興味はもっていたものの、特別な熱意を持っていたわけではなく、人脈づくりや仕事のためになればといった目的が大半でありました。入会時は、必要最小限の範囲内で、いわゆる「コスパ」がよいかたちで関わっていればそれでよいと考えていました。しかし、大変光栄なことにこれまで委員長などの様々な役職をさせていただいたほか、日本JC、茨城ブロック協議会に出向する機会もいただき、数多くの貴重な経験をさせていただきました。重要な役職を経験させていただく中で、肉体的・精神的に苦しいと感じる時期もありました。「なぜ、こんなに頑張っているのかわからない」そのように感じたことは一度や二度ではありません。
JC活動に関わるようになると、あるとき、自分ではコントロールのしきれない説明不能な熱量に駆り立てられるときがあります。それは、合理性や効率性を考えれば、一見遠回りをしているように見えてきてしまいます。最近のビジネス書には、よく自己実現やモチベーションといった謳い文句が並ぶことがありますが、JC運動には、そういった理屈だけでは説明がしきれないようなものに意図せず触発されてしまうことがあるのではないでしょうか。
一方で、JC運動を展開するにあたっては、「想い」や「絆」といった気持ちの側面も非常に大事になります。運動をより力強く推進するためには、例えば、事業背景と事業目的の論理的整合性といった理屈の部分だけではなく、構築した事業に対する気持ちや感情といった「想い」を乗せていく必要性があります。ただ、それは何も考えずに「想い」だけで突っ走ったということではありません。独りよがりな「想い」だけでは、運動を適切に進めることは難しくなってしまいます。
では、何が必要なのか。
40周年を迎えた今、私たちはこれからの一般社団法人 牛久青年会議所が進むべき道筋とその本質を見つめ直し、その先を見据えていく必要があるのではないでしょうか。
牛久市は、1986年に茨城県で19番目の市としてスタートし、都心からの距離が約50kmという立地条件の良さから、首都圏のなかの新しいベッドタウンとして発展をしてきました。
牛久市には、牛久シャトー、牛久大仏、牛久沼といった多種多様な地域資源が存在しております。これまで一般社団法人 牛久青年会議所は、この地域資源を最大限に生かすため、数々の課題を考えつつ、試行錯誤しながら運動を展開してまいりました。また、新しいトピックとしては、二所ノ関部屋に所属する力士である大の里関が大関昇進を果たすといった明るいニュースもありました。40周年という節目を迎える本年度、私たちは、これらの牛久にゆかりがあるものの本質をとらえ、その特長に大胆かつ柔軟な発想で新たな光を当て、牛久に関わる全ての人々が、牛久に夢を描くことができるような40周年記念事業を展開しまちづくりに寄与してまいりましょう。
まずは、誰に向けてどのような運動を展開していくのか、どのような目的で運動を展開していくのか、理解していただくための発信を行うことが重要です。多くの方に、一般社団法人 牛久青年会議所の運動を理解していただくために工夫を凝らした広報・発信活動を行ってまいりましょう。
そのうえで、次世代が牛久に夢を描くためには、まず、その上の世代である私たちが夢を描き実現していく姿を示す必要があります。これまで、先輩諸兄姉が地域とともに行ってきた運動を見つめ直し、令和の時代に生かしていくために適切な形でアップデートしていくことが必要です。これからの次世代が夢を描くためのベストな事業とストーリーを提供し、牛久に魅力を感じていただくことで、次世代を担う子どもたちが牛久に夢を描くことができるような礎を築いてまいりましょう。
牛久に住み暮らす方々が牛久に夢を描くためには、その方々が日々牛久に感じている多種多様な印象を吸い上げ、プラスの方向に転化し、その熱量を一つの方向に繋げ強い推進力として盛り上げていくことが大切です。これまで牛久で活躍されてきた方々の牛久への隠れた想いを内側から自然に湧き上がるように刺激することで、後世に伝えたいと思えるような牛久の良さを再認識していただき、牛久に改めて夢を描く衝動を巻き起こしてまいりましょう。
<あらゆる形での連携を駆使した理念共感型の浸透と仲間づくり>
組織の発展のためには、構成員としての「人」、連携するパートナーとしての「人」の拡大と良好な関係性の構築が必要不可欠です。40周年という節目を迎えるにあたり、私たちは、改めて組織にとっての「人」とそのあり方について、根本的なところから見つめ直し、行動することで、未来に繋ぐ衝動に火をつけることができると考えます。
全国的に青年会議所の会員数は減少を続け、一般社団法人 牛久青年会議所の会員数についても、減少傾向にあります。青年会議所のみならず、全国的に生産年齢人口は減少傾向にありますが、今の現役世代の社会貢献に向けた衝動は、過去と比較して劣っているわけでは決してありません。社会貢献に向けた意欲はあっても、それを発揮する場所がわからない、できるかどうかわからずに二の足を踏んでいる、そのような秘めた意欲と向上心を持っている青年経済人は、多くいるように見受けられます。青年会議所は、社会貢献に向けた秘めたる衝動に火をつけて、それを達成するための実践を重ねるのに最適な組織です。40周年という節目を迎える今年度、理念に共感できる魅力的な事業構築の機会と唯一無二の経験値を共に獲得できる新たな仲間づくりを推し進めてまいりましょう。
一般社団法人 牛久青年会議所は、これまで多くの行政組織や他団体とパートナーシップを構築してまいりました。一方で、現代社会における災害の甚大化、少子高齢化の進行、コミュニティの希薄化による社会不安の増大により、地域の一団体として行政組織や他団体との連携をスムーズに行う必要性はこれからも高まっていきます。社会問題を解決するために日々運動を展開している私たちは、複雑化・深刻化する社会問題に対応し、更なる発展を遂げることを可能にするパートナーシップの構築を目指す必要があります。連携を取る理由と必要性をパートナーシップの相手方に論理的かつわかりやすく説明するとともに、思わず協力したくなるような感性を刺激し合うことで、共にその先へと進む衝動を巻き起こしてまいりましょう。
<創立40周年という節目と次なるステージを明確に意識した組織運営>
組織の運営は、理事会の設営、会員名簿の作成、各スケジュールの調整管理、備品の管理、ホームページの更新等、当たり前のことを当たり前にこなしていくことによって、円滑な組織運営が可能となります。一見すると光の当たりにくい場所ですが、組織運営が十分に機能しなければ、その団体の運動を円滑に展開していくことが覚束なくなってしまいます。
年2回開催される総会は、私たちの年間事業計画や予算などを決める一般社団法人 牛久青年会議所内の最高決定機関であるとともに、多くのご来賓の方や近隣友好LOM、先輩諸兄姉の皆様に、一般社団法人のあり方を見ていただく重要な機会でもあります。
入念な準備を重ねることによって、一般社団法人 牛久青年会議所らしい、緊張感のある雰囲気のなか、厳粛に開催できるよう努めてまいりましょう。
また、本年度は、40周年という節目の年を迎えるにあたって、40周年記念式典が催されます。節目を明確に意識することで、過去を見つめなおし、未来を見通すことが可能になります。普段通りのことをこなすことに加えて、40周年記念式典という節目の前と後を明確に意識したセレモニーと式典を行うことで参加者の衝動を呼び起こし、組織運営に今までにない光を当てることで、次なるステージを見定め、しっかりと歩みを進める道しるべとしてまいりましょう。
また、迅速かつ適切な広報活動を実践することで、一般社団法人 牛久青年会議所の周知に繋がるとともに一般社団法人 牛久青年会議所のブランディングにもつながります。受け手のワクワク感と衝動を呼び起こすような魅力的な広報活動を目指してまいりましょう。
<アカデミーメンバーによる社会貢献への衝動>
一般社団法人 牛久青年会議所では、年々入会3年未満のアカデミーメンバーの割合が増えております。近年の一般社団法人 牛久青年会議所を支えているのはやる気に満ち溢れたアカデミーメンバーであり、一般社団法人 牛久青年会議所では、運動に積極的にコミットすることで、入会後まもなく、他団体では得られない活躍の機会を得るということも不可能ではありません。
牛久市内において毎年開催されるうしくかっぱ祭りでは、アカデミーメンバーが中心となってクリーンキーパー活動を行っています。コロナ禍から地域との連携が少しずつ繋がり始めた今、アカデミーメンバーが主体となって新鮮な発想で今後に繋がる事業を行うことで、社会貢献へ衝動を呼び起こしてまいりましょう。
<ラストイヤーの矜持と教示が描き出す運動を次代につなぐ衝動>
一般社団法人 牛久青年会議所には、これまで多大な貢献をされてきた魅力あふれるラストイヤーのメンバーが今年も多く存在します。40周年の節目の年に卒業をされるメンバーの方々がこれまでに一般社団法人 牛久青年会議所の発展のために費やしてきた努力と熱量は計り知れないものがあります。これまで培ってこられたJAYCEEとしての矜持を、次の世代のメンバーに教示し、継承するとともに運動を展開するにあたって大切なことは何なのかをメンバー全員と共有することで、40周年のその先へと繋がる留まらない衝動を引き継いでまいりましょう。
<50周年に向けたビジョンの構築と節目の門出を祝う40年目の卒業式>
事務局は、出欠の調整、議事録の作成、スケジュールの管理、各種大会の対外事業への参加時の設営といったあまり目立たない作業ではありますが、組織の中核として欠かせない存在です。日頃から、しっかりとした準備を行うことで、メンバーの衝動をエンパワーメントして自信を持たせるとともに円滑かつ正確な組織運営に努めてまいりましょう。
財政局は、予算の策定、会計の管理、コンプライアンスチェックといった一般社団法人 牛久青年会議所が活動をしていくうえで必要不可欠な部局です。特に本年度は、正確な収支の管理が重要になってきますので、事務局同様入念な準備とともにメンバーへの周知を行って、衝動を繋いでまいりましょう。
また、40周年を迎えるにあたって、次の10年後である50周年のビジョンを提案する必要があります。これまで先輩諸兄姉が積み上げられてきた運動展開に対して敬意と感謝の気持ちを持つとともに、創立の精神を受け継ぎつつも、メンバー全員が主体的な意見交換を行い、今後迎える50周年に向けた夢を描ける未来ビジョンを構築してまいりましょう。
40周年の一般社団法人 牛久青年会議所とともに、その中核を担ってきた多くのメンバーがご卒業されます。50周年に向けた一般社団法人 牛久青年会議所の次なる衝動に期待を持っていただけるような設えで、卒業生に最大級の感謝を伝え、晴れやかな気持ちで卒業していただきながら40周年のフィナーレを迎えましょう。
<結びに>
40周年という記念すべき年を迎えるにあたり、私たちが、自分ではコントロールしきれない何かに突き動かされるような熱量に駆り立てられるためには、「知恵」を振り絞って考え、「議論」することとともに、「想い」や「絆」といった気持ちを乗せていくことが必要不可欠です。しかし、説明不能なほど過剰なパッションは、文字どおり「理屈」と「感情」だけで説明することは不可能です。40周年という節目の年を迎えるに当たって、私たちは、「理屈」と「感情」をただ両手に携えるだけではなく、「理屈」と「感情」の先へ向かって歩みを進める必要があります。
40周年という節目を明確に意識し、次の時代へと繋げていくためには、メンバー一人ひとりが内面から湧き上がる「衝動」を掘り下げ、そして、「衝動」に突き動かされる必要があります。辛いときや苦しいときもあるかもしれません。しかし、「自分でも何故こんなに頑張っているのかわからない」という境地に達したとき、辛さや苦しさは、説明が不能なものではなく、説明が必要のない「衝動」となり、一般社団法人 牛久青年会議所でしか味わえない達成感と充実感に繋がっていくはずです。2025年度の1年間が終わったとき、「衝動」に突き動かされて駆け抜けてよかったと振り替えられるような1年間をともに目指してまいりましょう。そのとき得たかけがえのない経験は、これまでにない成長の機会となり、自身の仕事や日常生活、さらには牛久の未来にもプラスに働くものと信じています。そして、先輩諸兄姉の皆様が繋いでこられた一般社団法人 牛久青年会議所の誇りを継承し、新たな時代に向けて、一致団結し、言葉では語り尽くせないほどの大きな「衝動」を巻き起こしてまいりましょう。