第30代理事長 飯島 和真
第30代理事長 飯島 和真

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理 事 長 所 信

一般社団法人牛久青年会議所 

第30代 理事長 飯島 和真

 

<はじめに>

 日本における青年会議所運動は第二次世界大戦の後,荒廃してしまった国の再建を志す青年達により1949年に誕生しました。以後,「明るい豊かな社会」の実現は我々青年達の使命であるという想いが各地に伝播し,全国で地域に根ざした組織として様々な運動を展開して参りました。

 私たちのまち牛久に青年会議所の火が伝播したのは,それから37年後の1986年9月28日です。時を同じくして,私たちの住むまち牛久も同年6月1日より市制が施行されたことにより,県下19番目の市として10万人都市を目指し新たなスタートを切りました。戦後の復興は昔話となり,社会が高度経済成長を成し遂げ,成熟した社会環境が整いつつある中,戦後間もない時代とは違い,衣食住に不自由しない生活を手に入れることは出来ました。しかし,その一方で他人を思いやる気持ちが薄れ,利己主義の弊害として以前では考えられない様々な問題が浮き彫りになってきました。そのような状況下で青年会議所の崇高な理念に賛同した私たちの先輩諸兄の皆様は,地域を想い,地域を愛する青年としての記念すべき第一歩を踏み出しました。以後29年間,「修練」「奉仕」「友情」という三信条を携えて,新しい時代の担い手として責任と自覚を持ち,まずは自らが学んで地域に発信していくという気概を持って様々な形で地域の問題や課題に誠実に向き合って参りました。

 

 それでは,今の私たちを取り巻く環境はどうでしょうか。

 

 1990年代から続くデフレ不況は私たちの生活に影を落としています。2012年に発足した第2次安倍内閣のデフレ脱却政策による景気回復や,2020年に東京オリンピック,パラリンピック開催決定など明るいニュースがある一方,長引く経済低迷に起因した問題や課題が山積みです。未婚率の上昇,晩婚化による出生率の低下,それに伴い少子,超高齢化社会が到来し年金問題を引き起こしています。また,パソコンや携帯電話が普及した高度情報化社会の中で,情報が簡単に手に入ることによるコミュニケーション能力の低下,プライバシー侵害,ストーカー問題や領土領海問題による日中,日韓関係の冷え込みに代表される諸外国との外交問題,そして2011年に発生した東日本大震災による原発事故でのエネルギー問題などの数えきれない問題が発生しております。

 

 今を生きる,私たち青年にできること。

 

 どのような企業,団体も地域に求められていなければ,その存続が危ぶまれていきます。創立から29年間という長い間,歴史を刻み続けて頂いた歴代理事長を初めと致します牛久青年会議所OB,OGの先輩諸兄の皆様のこれまでの改新的な運動があるが故に,今でも私たちは青年会議所運動をしていけることに感謝致しましょう。そして,私たちは改めて地域の現状を把握し,そこに存在する様々な問題や課題に想いを巡らせ,それを解決する為の手法を見極めて地域に発信していきましょう。10年後,20年後も,一般社団法人牛久青年会議所が地域の明日を見据える組織として存在していく為に,30周年という節目の機会に,私たちはこれからの青年会議所の未来ビジョンを再考していかなくてはなりません。その先に今まで以上に地域に愛される牛久青年会議所,そして私たちの地域の輝かしい未来があると確信しております。

 

<創立30年という節目と再スタート>

 本年は牛久青年会議所が創立してから30年目の節目の年となります。この節目を迎えるにあたり,これまで脈々と受け継がれてきた先輩諸兄の皆様の青年会議所の運動に対して敬意と感謝の気持ちを伝えなければなりません。こうして私たちが青年会議所活動を通して切磋琢磨できるのは,創立から今まで,この運動を支えてきたOB,OG100名を超える先輩諸兄の皆様,及びご指導ご鞭撻賜って参りました行政,関連諸団体,県内外友好青年会議所の皆様のご尽力の賜物であります。創立30周年記念式典,祝賀会の開催にあたり,これまで牛久青年会議所にご協力賜りました皆様を,私たち現役メンバーは真の「おもてなし」の心でお迎えして参りましょう。

 また,創立の精神を受け継ぐことも大切です。かつて,地域のリーダーとして地域の問題点に向き合い,率先して改善しようと立ち上がった先人に学び,私たちも今の地域の現状を把握し,より良い地域にしていくことが先輩諸兄の皆様の熱き想いに向き合う最善の運動となるでしょう。その上で,今後迎えるであろう40周年という節目までの未来ビジョンを創造する第一歩をメンバー一丸となり踏み出していきましょう。

 

<まちの未来とひとづくり>

 青年会議所に入会して考え方が変わることが多くありますが,数ある中の1つにまちづくりに対する考え方がありました。入会するまでは,地域の振興事業は管轄の行政だけが行っているものと当たり前のように思っておりました。日々の生活を淡々と過ごしている中で自分たちの地域に新しい道路が出来たり,新しい学校が建設されたり,毎年のようにお祭りが開催されたり,自分に直接関係があること以外はあまり関心がなく時を過ごしていましたが,青年会議所に入会すると,自分の利害に直接関係がない地域の様々なことに,まるで自分のことのように一生懸命語り合っているメンバーと触れ合うようになりました。いつの間にか私自身もその輪の中に入り,地域のことを前向きに考える人間になっていました。そして,まちづくりとは行政主導の地域整備にそのまちに住む「ひとのこころ」が添えられることで達成される物だということに気づかされました。

 青年会議所は当初,戦争で荒廃した地域を再生したいという青年達の想いのもと,まちづくり運動を展開しておりました。当時と現在で,その根幹に流れる理念に変化はありませんが地域の問題やそこに住むひとが求める未来も変わってきているのではないでしょうか。まずは,現在の牛久市および周辺地域の現状を私たち自身が改めて学んでいくことが必要です。地域が必要としていること,そこに住むひとが必要としていることを見極めていきましょう。それを踏まえてこそ,私たちは地域に住む人と共にこの地域の未来を考えていくことが出来るようになります。自分たちの住むまちについて前向きに考えて頂ける市民を一人でも多く作ること,すなわち,ひとづくりがより良いまちづくりの原動力になります。同時に未来を担う子ども達の健全な育成にも視点を向けなくてはなりません。いつの時代にも子どもは地域のたからであり未来を担う大切な存在であることに変わりはありません。しかし,子ども達を取り巻く環境は時代と共に変化し,その中で成長していくことは本人の意思で選ぶことは出来ません。内閣府が平成25年度に国会に報告した子ども,若者白書によると,日本の子ども達は欧米の子ども達と比較して自分たちの将来に不安を感じている割合が多いとされています。長引く不況による世帯所得の低迷や年金問題,子どもの貧困率が過去最大になるなど様々な要因が考えられますが,このような問題を改善する為には構造的な改革が必要となり解決までには相当な時間を要してしまいます。しかし,このまま何もしないでいても子ども達は日々成長していきます。少しでも多くの子ども達に自分の将来に夢や希望を持ってこれからを生活してもらうことが私たち親世代に課された使命であります。

 

 

 

<仲間づくりと自己研鑽>

 青年で組織される団体は各種ありますが,青年の学び舎と呼ばれる青年会議所は多くの意識変革の機会に出会えることが出来る団体であると考えます。私は青年会議所に入会した当時,委員会に参加しても例会に参加しても青年会議所活動の真意をよく分からずに活動していました。しかし,真剣に青年会議所に向き合っていくうちに,一つひとつの事業に担当委員長を中心として委員会メンバーが真剣に取り組み,楽しさや悔しさや事業の達成感などを共感し,お互いに絆を培っていくことを私自身も経験させて頂きました。それと同時に,様々な人との交流を通じて自然に私自身の人生観や世界観も変化してきました。今では青年会議所という輪の中にいることが出来て本当に良かったと思っております。青年会議所に入会する理由は人それぞれありますが,是非とも多くのメンバーとこの地域のまだ見ぬ仲間に私が経験したことを伝えていきたいと考えます。青年会議所に関わる全ての人が自分のかけがえのない仲間を見つけ,自分の成長につながる経験をすることが地域発展の活力となると信じます。

一方で,青年会議所で行っている活動の中では地域市民との交流を通じて,地域の青年経済人として自らを顧み,その上で資質を磨いていく機会を得ることが出来ます。今年で10回目の開催となります「いばらきちびっこオセロキャラバン牛久地区大会」を開催し,より多くのメンバーで,参加して頂きますお子様やそのご家族の皆様に礼儀とコミュニケーションの重要性を発信して参りましょう。

 また,青年会議所活動の中では自己研鑽の場も非常に大切な経験であります。地域発展の変革の能動者としての青年会議所メンバーであり続ける為に,私たちは個人の資質の向上も率先して実践していかなくてはなりません。青年会議所を通じ自ら学んだことを周囲の人に伝えていくことで私たちの活動はより深い意義を帯びていきます。自分の気持ちや思いを他人に伝え,共感してもらうことは家族生活や仕事をしていく中で,ひいては青年会議所活動においても大変重要なスキルとなります。青年会議所という学び舎の中で人を動かすことの出来る魅力のある青年に成長することは,今後,地域のリーダーとして様々な方面で活躍していくメンバーにとってかけがえのない経験となります。

 

<青年会議所の柱として>

 青年会議所の毎年の活動は総会から始まり総会で終了します。総会では年間の基本計画や予算など重要な事項をメンバーはもとより関係者にご臨席賜り,審議頂き公開する重要な場であり青年会議所活動の柱であります。その総会を担当する総務広報委員会の職務は理事会の設営,会員名簿の作成,広報活動など多岐にわたり同じく団体の柱として非常に重要な役割を担っております。職務としては毎年,同じことを実施してきている委員会ですが,反面,今までの伝統を守っていくことの難しさがあるという点も忘れてはなりません。総会や理事会の運営など決まっていることを粛々と行っていく力強さも青年会議所で経験できる魅力のひとつです。前述のとおり,本年は創立30周年の節目の年となります。縁の下の力持ちとしての総務広報委員会の勢いがメンバー全員の団結に繋がると確信しております。また,長年にわたり当会の活動にご協力頂きました本年ご卒業されるメンバーの皆様及び創立30周年という記念すべき1年間を陰で支えて頂いたメンバーのご家族,ご友人の皆様に感謝の意を表し,かけがえのない思い出や私たちの活動の成果を共有することにより,今後の青年会議所運動の更なる発展に繋げていきましょう。

 事務局は各種事業の動員,メンバーの対外活動の把握,京都会議や全国大会などの対外事業への参加時の設営,正副理事長会議の設営など多方面にわたり青年会議所の活動をサポートして頂きます。また,財政局は青年会議所の年間予算の策定および決算報告や各種事業の費用管理など,メンバーからお預かりしている貴重な会費を適正に運用する重要な職務を遂行して頂きます。主管する例会がなく他の委員会に比べて表舞台での活動が少ない役職ですが,この2つの役職が影で活躍しているからこそ他のメンバーが青年会議所の活動を円滑に進めることが出来ます。また,組織の性質上,縦割りの運営が多くなる傾向にある青年会議所の中で各委員会との交流ができる事務局,財政局は組織のパイプ役として青年会議所の一体的な運営を可能にする重要な存在であります。  

総務広報委員会,事務局,財政局は青年会議所の3本の柱となり,他の委員会の運営のサポートをしていきましょう。

 

<地域との関わりの中で>

 私たちの青年会議所の目的は定款の中に「地域の青年が地域社会,経済及び文化の振興を図る為に各種の社会経済文化事業を行う」と記されております。創立より29年間,この目的を達成する為に運動してきた牛久青年会議所は,その歴史の中で地域の各種団体との関係も深めて参りました。いつの時代でも,その時代毎の地域の諸問題に対して能動的に働きかけようと努力し,より効果的な手法として,時には私たちの力だけではなく他団体の力をお借りして活動をして参りました。この社会に存在する団体は営利,非営利の区分と公共,民間の区分で大きく分類されます。国や市などの行政機関は公共の非営利団体とされており,その存在目的は地域の公の益を追求していくことです。私たちが個人的に関わっている会社は民間の営利団体に区分され,営利の追求を認められている替りに様々な納税を義務付けられております。一方で青年会議所は,国や市などの行政と同じ地域の公の益,地域の発展を目的に非営利で活動している民間団体として免税措置を受けている民間非営利団体であります。行政機関が目的としている公の益の為の各種事業の一翼を担っている一般社団法人牛久青年会議所は,今後も地域の発展の為に存在する民間非営利団体として,その存在意義を忘れず,青年会議所の正会員としての自負を持って活動していきましょう。

 

<結びに>

 2006年2月16日は私の人生の中の大きな転機となりました。この牛久青年会議所の理事会で入会を承認して頂いたのです。当時の私はこれから起こるであろう,かけがえのない仲間との出会いや,これまでにない私自身の成長を知る由もありませんでした。今ではこの数年間の活動の中でご指導頂いた先輩諸兄の皆様,また互いに切磋琢磨してきた仲間や大切な後輩に出会い,多くの気づきを頂いてきたことに感謝しております。もしあの日,理事会が開催されている牛久市中央生涯学習センターの会議室に足を運んでいなかったら今の私は全く違う道を歩んでいたのかもしれません。過去に歩んできた道の上に今の私は存在しております。一方,1986年9月に創立し,翌年の1987年3月に認承証を伝達された牛久青年会議所も,その後1991年の社団法人格の取得を経て,2013年5月には一般社団法人として生まれ変わりました。この大きな転機を経験する中で,私たちの先輩諸兄の皆様が歩んできた歴史や培ってきた誇りがあったからこそ今の牛久青年会議所があります。

 「明るい豊かな社会」の実現という崇高な理念を掲げている青年会議所の運動は,今後も新たな問題や課題と誠実に向き合うことでより意義の深い運動となっていきます。先輩諸兄の皆様が残してくれた誇りをメンバー一人ひとりが継承し,今後の一般社団法人牛久青年会議所の新たな運動展開の礎を一致団結して築き上げて参りましょう。